当院の心臓血管外科では幅広い疾患に対して診断、治療を行なっています。手術治療はもちろん、カテーテルを使用したインターベンション治療や両者を組み合わせたハイブリッド治療にも対応しております。またペースメーカ植え込みや痛みに対する脊髄電気刺激法なども積極的に行なっております。
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、心臓の血管が狭くなって血液の流れが悪くなり、心筋に酸素や栄養が不足することで起こる疾患です。主な症状は、胸痛や息切れなどです。
虚血性心疾患には、狭心症や心筋梗塞などがあります。狭心症は、冠動脈が狭くなって血流が悪くなることで起こります。心筋梗塞は、冠動脈の一部が完全に閉塞し、心筋が死滅することで起こります。心筋梗塞では一般的に心筋が壊死しますので心臓の働きは低下してしまいます。
虚血性心疾患の原因には、高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、運動不足などがあります。また、家族歴や加齢などもリスクに関係しています。
虚血性心疾患の診断には、心電図や血液検査、冠動脈造影などの検査が行われます。治療には、薬物療法や生活習慣改善、冠動脈バイパス手術などがあります。早期に治療を始めることが重要で、治療が遅れると重篤な合併症を引き起こす可能性があります。虚血性心疾患にかかった場合は、まずは早期に専門医の診察を受け、治療に取り組むことが大切です。また、生活習慣の改善や定期的な健康診断など、予防にも努めましょう。
弁膜症
心臓弁膜症とは、心臓の弁膜が損傷して正常に働かなくなる疾患のことを指します。心臓は、四つの弁膜(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)によって正常に血液を循環させていますが、心臓弁膜症がある場合は、血液の流れが悪くなることがあります。
心臓弁膜症には、二次性弁膜症と先天性弁膜症があります。二次性弁膜症は、心臓弁膜に病気や怪我が原因で損傷が生じた場合に起こります。先天性弁膜症は、出生時から弁膜に異常があるために発生する疾患です。
心臓弁膜症の症状には、息切れ、疲れやすさ、胸痛、めまい、失神などがあります。診断には、心電図、心エコー検査、心臓カテーテル検査などが行われます。
心臓弁膜症の治療方法は、症状の程度や弁膜の損傷状況によって異なりますが、薬物療法や弁膜修復手術、弁膜置換手術などがあります。治療が遅れると、心臓機能の低下や心不全、塞栓症などの合併症を引き起こすことがあります。心臓弁膜症にかかった場合は、早期に専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。また、定期的な健康診断や生活習慣の改善、喫煙や過度のアルコール摂取などのリスクファクターを避けることも予防につながります。
大動脈疾患
大動脈疾患とは、大動脈と呼ばれる血管が変性あるいは損傷している状態や、大動脈周囲の組織が病気になっている状態を指します。大動脈は、心臓から全身に酸素や栄養素を運ぶ大切な血管の一つであり、損傷や病気が起こると深刻な合併症を引き起こすことがあります。
大動脈疾患には、大動脈瘤、大動脈解離、大動脈外傷性損傷などがあります。大動脈瘤は、大動脈の壁が膨らんで脆くなり、破裂して出血したり、血栓ができたりする危険がある状態です。大動脈解離は、大動脈の内側と外側の層が剥離し、血液がその間に入り込んで壊死や出血を引き起こす状態です。大動脈外傷性損傷は、交通事故や転落などの外力によって大動脈壁に亀裂や破裂などが生じて起こり、主に出血などで致死的になる状態です。
大動脈疾患の症状には、胸痛、息切れ、失神、呼吸困難、背中の痛みなどがあります。診断には、血液検査、心電図、心臓カテーテル検査、CTスキャン、MRIなどが行われます。
大動脈疾患の治療方法は、病気の程度や患者さんの状態によって異なりますが、薬物療法や外科的手術、内視鏡手術、血管ステント治療などがあります。治療が遅れると、重大な合併症を引き起こす可能性が高くなります。大動脈疾患にかかった場合は、早期に専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが重要です。また、健康的な生活習慣を維持すること、禁煙や適度な運動、ストレスの軽減などのリスクファクターを避けることも予防につながります。
末梢血管疾患
末梢動脈疾患とは、末梢部分の血管が狭窄したり、閉塞したりして、足や手などの末梢部分に血液が十分に届かなくなる状態を指します。主に動脈硬化が原因となり、高齢者に多くみられますが、若年層でも発症することがあります。
末梢動脈疾患の主な症状には、下肢の疲れや痛み、しびれ、冷え感、傷の治りが悪いなどがあります。重度の場合は、足や手の痛みが激しくなり、歩行距離が短くなるなどの症状が出ることがあります。
診断には、血管エコー、血管造影、MRIなどの検査が行われます。治療方法には、薬物療法や血管内治療、外科的手術などがあります。薬物療法には、血栓を予防する抗血小板剤や抗凝固薬が使われます。血管内治療には、バルーン拡張術やステント留置術があります。重度の場合は、血管バイパス移植術や切断・切除術が行われることがあります。
末梢動脈疾患の予防には、禁煙、適度な運動、バランスの良い食生活、過剰なストレスを避けるなどの生活習慣の改善が重要です。早期発見・治療が大切であり、症状がある場合は専門医に相談し、適切な治療を受けることが必要です。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは、足の血管のうち静脈に発生する病気で、静脈が膨らんで曲がっている状態を指します。一般的に、静脈が弱くなったり、血流が悪くなったりすることで発生します。
下肢静脈瘤の症状としては足の浮腫や痛み、痒み、痙攣、疲れやすさ、または足の重だるさといったものがあります。静脈が膨らんでいる部分にはしばしば赤い斑点ができたり、痛むことがあります。
この病気は、通常は手術が必要ではありません。しかし、症状がひどい場合や、痛みや浮腫がひどい場合は、手術が必要になる場合があります。また、血栓や皮膚潰瘍のリスクもあるため、適切な治療を受けることが重要です。
治療法としては、圧迫ストッキングの着用や運動、体重の減量、栄養改善、または抗凝固剤の使用など、非手術的な治療が行われます。手術が必要な場合は、瘤を取り除く手術や、静脈を閉塞する手術などがあります。
静脈瘤は、進行すると合併症が起こることもあるため、症状がある場合は早期の診断と治療が必要です。定期的な医師の診察を受けることで、静脈瘤の予防や管理に役立ちます。